2014/04/20

クメール正月のボランティア

カンボジアのお正月、アンコールワットをはじめとする有名な
遺跡群のあるシェムリアップには毎年各地から大勢の観光客が
押し寄せます。

観光客と言っても外国人ばかりではなく、他州からカンボジアの
人々も国民のよりどころであるアンコールワットにやってくるのです。

私は人混みがすごく苦手なのと、遺跡に入るためには外国人は
20ドルの入場料を支払わなければならないこともあり、お正月に
遺跡周辺に行ったことはほとんどありませんでした。

今年も行く予定はなかったのですがプノンペン在住の私のお姉さん
から「バイヨンの近くでボランティアしてるから、時間があったら来てね」
と連絡をもらったので行ってきました。

普段なら車で15分もあれば到着のバイヨン遺跡までなんと2時間・・・。
この先にアンコールワットのお堀があるはずなのですが・・・
この大渋滞を抜けてなんとかたどり着き、お姉さんとそのお友達の顔を
みたときはホッとしました。

お姉さんによると、今年の遺跡周辺のイベントにはカンボジアの高校生から
大人までものすごい数のボランティアスタッフが早朝から夜まで運営スタッフ
として関わっているとのこと。

たしかに渋滞中でゆっくり進んでいるときに車両の誘導などをしていた人
たちもみんなスタッフのユニフォームを着ていたし、その他のポイントとなる
場所でも必ずそういった人たちを見かけました。

カンボジアのお正月は年間を通じてもっとも暑いとされる酷暑期に迎えられる
ので、遺跡周辺の体感温度は日中で40度以上。
汗とほこりにまみれながら裏方に徹するカンボジアの人たちを見ていて
こんな時代になったのかと驚きました。

お姉さんがこんな話を教えてくれました。

カンボジアの人たちはまだゴミをその辺に捨ててしまうので、夕方になると
このへんはゴミが山のようになっている。
でもお客さんたちがいなくなった夕方から夜の間にゴミ収集のスタッフたちが
全部きれいにしてくれるから翌朝来るとなにも落ちてないくらいきれいになって
いるのよ。

今年の遺跡周辺でのイベントは、外国人観光客のための催しというよりも
カンボジアの地元の人たちが楽しめるようになっていたと思います。

別行動だったうちの施設の子どもたちも・・・
少数民族の文化に触れる
体験型のイベントを楽しんできていました。

最後にはバイヨン遺跡前で消防車から大量の放水。
カンボジアの文化でもある「水かけ」の豪快バージョンで、集まった人たちは
熱狂していました。
大興奮

私が2000年に施設に来た頃は「ボランティア?それをすればどんな得があるんだ?」
なんて言われることも多かったのですが、今では休みを満喫したいはずである
お正月にボランティアスタッフとして参加するカンボジアの人々がいることに
感動しました。


こういったイベントに関わる多くの人たちが、今後この国の政治を担っていく
立場の人々であったことを最後に記したいと思います。

威張ってばかりで仕事をしないような人たちでは決してありません。
食事の時間もなく、一般の人たちのために早朝から夜まで汗を流して走り回って
いました。
そしてそこには心満ち足りた笑顔があふれていました。

カンボジアの人たちがカンボジアの人たちのために楽しいイベント作りを行う。
そんな光景を目の当たりにして、この国が平和で、心も豊かに、希望が持てる
未来に向かっている一面を感じた今年のお正月でした。

お姉さんから声をかけてもらわなかったら、一般の人たちの楽しいお正月を
支えるために、裏で走り回る人々の存在を知らないままだったかもしれませんね。
普段から尊敬しているお姉さんですが、益々好きになってしまいました☆



2014/04/14

カンボジアのお正月に思う

日本人にはまったく、まったくもってなじみのない4月のお正月。

カンボジアでは毎年4月に新しい年が明けます。
年間でも酷暑期と言われるこの時期のお正月は在住14年になっても
なかなか慣れることができません。


とはいえ、周りのみんなが年末気分、お正月休みを満喫している
のだから、自分もその波に乗ってしまえということで、昨日は在住の
仲良し3家族でピクニック?日帰りキャンプ?に行ってきました。

             
川に行って魚を獲ったり、簡易コンロでソーセージを焼いてみたり、
テントのようなものを張った下でみんな楽しんで過ごしていました。
そんなお休みを過ごすのは私たち日本人だけではなく、周りには
カンボジアの人たちもけっこうたくさんいました。

川には近所の子どもたち、いや・・・、子どもたちだけじゃない・・・
昔話でしか聞いたことがないけれど「リアル川で洗濯」のおばちゃんや、
自転車とかバイクを川の中で洗うおじさん。
そして仕事中に我慢できなくなったのか、突然腰巻ひとつで川に
降り立ちその腰巻をタオルに背中を流し始めるトゥクトゥク運転手の
おじさん・・・。



そんなカンボジアの人たちを眺めながらふと川から少し離れた
木陰に目をやると、車に食事の準備一式を積み込んできて
食べる準備を始めた家族が目に入りました。

この人たち、川からわりと遠いところに陣取る(笑
さっそうとやってきたかと思うと、けっこうな早さで場所の確保から食べられる
状態に準備完了。
ちょっと生温かい風が吹いて「ひと雨くるかもねえ」なんて話しているうちに
その一家は食べ終わって、さっさと撤収。
気がついたらいなくなっていました。

川遊びをするでもなく、本当に「ご飯を食べた」だけで帰っていったのです。

そして呑気にUNO大会している私たちの頭上では雨がポツポツ・・・
幸い少し降っただけでやんだので濡れることもなかったけれど、あの家族は
雨を察知していたんだなと確信。


おでかけした限りはたっぷり満喫しないともったいないと思ってしまう私たち
ニホンジンに比べて、いつもと違う場所でごはんだけ食べて悠然と帰って
行くカンボジアの人たち・・・。
なんの気負いもなく、ニャム バーイしたら終了という気軽さ。


たまにあるんですよね、完敗やなあと思わされるとき。


洗濯してみたり、背中流し始めたり、ごはんだけ食べに来たり・・・
少々自由すぎるけど、幸せそうなカンボジアの人々。


一緒にいる時間が長くなるとついむかっとしてしまうこともあるんだけれど、
どうしても嫌悪にはならず、あまりよく知らない人にカンボジア人たちの
悪口を言われると「ムッ」としている自分に気がつくことがあります。

家族の悪口を私が言ってもいいけどあなたには言われたくないのよ、
みたいな感覚でしょうか(笑


わがままかもしれないけれど、この妙な愛着も時間をかけてゆっくりと育んで
きたのかもしれない。

今年もここの人たちと一緒に新年を迎えさせてもらいました。
私たち外国人を受け入れてくれているカンボジアの人たちにも改めて
感謝の気持ちと尊敬を・・・。



2014/04/06

一人ではない

ここ数日体調が良くない卒業生、ラーヴォ。

前に彼についてこのブログで書いたことがありますが、いつも施設の
ことや私のことを気にかけてくれる心優しく、そして意志の強い子です。

昨日、同じ会社で働いてる卒業生のサヴィーがうちに来たのですが、
ちょうどこれからラーヴォの様子を見に行くとのこと。

私は日本人会の総会出席のために出かけるところだったので、サヴィー
にお見舞いを託しました。


今日、ラーヴォから連絡がありまだ体調不良だというのにお見舞いの
お礼を言うので、その後どうなっているのか訊いてみたら、のどの炎症を
起していて、頭痛もひどいというのです。
こちらで出してもらった薬は効かないというので、私が日本から持ってきて
いる薬を届けることにしました。

あいにく私は今日もそのあとの予定があったので、用務員のサンおじさん
に届けてもらうことに。
私のへたくそなクメール語でよく理解してくれたものです・・・(笑


サンおじさんが迅速に動いてくれているの見ながら、助け合うことって
大切だなと思っていました。

めんどくさそうにすることもなく、「病気か?薬、持っていけばいい
んだな?」とすぐに動いてくれます。
私はいつもそんなスタッフたちに助けられてやってきました。


そしてもう一つ、ラーヴォが遠慮せずに薬を届けることを受け入れて
くれたことも・・・。

素直にしんどいことを話してくれて、こちらができることをやろうと
思えたのはそれがあったからです。

私が苦しいとき、大変なときにいつも話を聞いてくれるのがラーヴォ
です。

昨日サヴィーが来てくれたことも偶然じゃないのかもしれない、いつも
お世話になっているからお返しする機会をくれたのだと思います。


今、施設にいる子どもたちにまずわかってほしいことは「自分は一人ではない」
ということです。

それは卒業しても同じです。
私たちは今まで助け合ってきました。
卒業してもできることがあればしたいと思うのは当然の気持ちです。


私はよく、カンボジアの子どものためにがんばっていると言われますが、
そうではないのです。
みんながいるから助けられる場面も多い、だからこそ自分のできることを
やっていきたいと思えるのです。


日本を離れカンボジアで暮らす中で、「一人ではない」と思わせてくれる
みんながいるからやってこれたんですね。

病気の時は大人でも心細いものです。
まだ顔を見に行くことができていませんが、ラーヴォの回復を祈って。

私の気持ちをラーヴォに届けてくれたサヴィーやサンさんに感謝して、
そして素直にしんどいことを話してくれたラーヴォにも感謝なのです。

いつもみんなに助けられて生きています。




2014/04/04

強く、優しく

夕方の作業時間が終わって、ちょっとみんなを集めて話したいことが
あったのですが、小学生男子2名が見当たりません。
スタッフも敷地内で見つからない、と・・・。

あー、あー、やっちまいましたねえ・・・(苦笑

スタッフが外で見つけて連れてきました。

外のゲーム屋さんで友達がゲームしているのを見に行っていたそうです。


うちの中高生たちはそういうことはまったくしないのですが、小学生は
まだまだ・・・(笑


ルールとして外出する場合はスタッフに一声かけると決まっています
ので、規則を破ったことになってしまいます。


二人が私の前に来てごめんなさいと言いました。

説明するまでもない様子でしたが、うちは叱るときにきちんと説明する
のが決まりなので、スタッフが話していました。
今はそういう役割をスタッフに託して、私は横で聞くようにしています。


ちょうどみんながいたので「土曜日のテレビ鑑賞なしにしようか」と、
私からも言いました。

みんな少しがっかりしていましたが、仕方ないことも理解している様子。

二人にだけトイレ掃除などをいうこともできたのですが、久々だったので
ここはみんなでルールを守ることについて考える機会にしてほしいと思い
ました。

そして二人の男の子たちには「みんなに迷惑をかけること」の悲しさや
恥ずかしさもわかるチャンスかなと。

二人はみんなにも謝って、もう同じ失敗はしませんと話していました
そのあと一人の男の子は目に涙をいっぱいためていました。


そのときの気持ちを忘れないでほしいな。
みんなに迷惑をかけた事を自覚する経験。

迷惑だけじゃない、みんな心配してたんだよ。
どこ行ったのかなってあちこち探し回ってたんだよ。


小さい間にいろんな失敗をして、叱られて、少しずつ理解して・・・

そして強くて優しい人になってほしいと思っているのです、私は。


そのためにたまには厳しいことも言わないといけない。
小さいことと見過ごさず、手を抜かずに。

うちの子たちはみんないい子です。
私たちが丁寧に育てていくのです。
強く、優しく。

他人の気持ちがくみ取れる人になってほしいのです。